lith様の備忘録
映画(主にホラー)・音楽(メタル)の雑なレビューブログ
アバウト・シュミット/About Schmidt 
07/17

公開年:2002
監督:Alexander Payne
脚本:Alexander Payne, Jim Taylor
音楽:Rolfe Kent
たまには「ドラマ」棚にある映画でも観ようじゃないかとちらっと観て、ジャック・ニコルソンが出てるなら観るか、と鑑賞に至りました。
監督はジュラシックパークⅢの脚本も務めたAlexander Payneです。
ストーリー
アメリカ中西部オマハ。この日、勤め先の保険会社で定年退職の日を迎える66歳のウォーレン・シュミット。彼はこれまで妻ヘレンと今は離れて暮らす娘ジーニーと共に、平凡だが特に不満のない人生を送ってきた。そして次の日から新たな人生を歩むことになる。
しかし、翌朝目覚めてみると、シュミットは会社中心の生活リズムが染みついていたせいか手持ち無沙汰になる日々が続いた。そんなある日、妻ヘレンが急死する。そして葬儀の準備に追われるシュミットのもとへ、愛娘ジーニーが婚約者ランドールを伴い戻ってくるのだった…。
ということで、定年退職した壮年ウォーレン・シュミットが主人公になります。第二の人生を歩むチックなやつですね。
私は「第二の人生のスタートで人生で最も素晴らしいものは何かを学べるんじゃないか」と若輩ながら思っておりました。・・・ホラーから学ぶことも本当に多いのですがね!
主人公シュミットは仕事人間で、生命保険業界でも大企業であるウッドメンに勤め妻子を養い、そして遂に定年退職を迎えます。冒頭はここから始まります。
いざ第二の人生が始まると、何もやることがない!仕事人間から仕事を奪ったら何もなくなるのです。今まで向けていた視線を仕事から家庭へ向けても、そこには老いた妻がいるばかり。愛娘も信用ならぬ頼りない男と婚約して別居状態。シュミットはいら立ちを覚えます。

「この婆さんは誰だ・・・?」
そんななか、突然妻が倒れ、亡くなってしまいます。あまりにも急すぎる妻の死にシュミットは戸惑い、意気消沈し、妻の存在のありがたさを改めて痛感するのでした。そして寂しい心は愛娘に向くわけですね。シュミットは同居をもちかけますが、あっさりと断られます(笑)
自分の第二の人生と共に何気なく始めた「恵まれない子ども」の養父。養子である写真でしか見たことのない男の子へシュミットは手紙を書き綴ります。自分の人生について、家族について、感じていること、思ったこと、考えたこと。

「そういえば」とシュミットは思いつきます。妻が欲しいとねだって買ったキャンピングカーがあることを思い出すのです。
思い立ったが吉日!シュミットは数日分の荷物を乗せ、ハンドルを握ります。旅の始まりです。
結婚を数日後に控えた娘はそっけなく、妻は若いころに旧友と浮気していたことが分かり、シュミットは旅によって寂しさを埋めようとします。まるで家族も友情も失ったよう。
まずは自分の生まれ育った町から。自分の人生を振り返り、自然を観て、シュミットは自分を見つめなおします。
そして旅の途中では同じくキャンピングカーで楽しむ夫婦と出会いますが、シュミットの行動でそれも台無しになってしまいます。空回りしてばかりのシュミットです。


いよいよ娘の結婚式です。娘の夫となる男の間抜けさ、その親族のどこか下品な生活と教養のなさに辟易し、最後まで反対をしていたシュミットですが、当日のスピーチでは二人の門出を祝うスピーチを行います。これが正しいこと、娘のためのことなのかと思いながら。そしてシュミットが見つける人生で最も大事なものとは・・・?

そろそろ個人的な感想にいきましょう。
OPはとっても良いです。シュミットが静かに定年退職を迎える様子が時計の針の音と共に印象強く残ります。これから「定年退職後」が描かれるという作品にふさわしいOPです。
シュミットが空回りするシーンが少なからずあり、コメディチックな要素があるので全体的に綺麗過ぎません。
しかしながら尻すぼみ感は否めません。これだけ描いておいて、ちょっとオチの印象が弱いかな、といった感じです。
「これが一番大切」と伝えたいのは分かるのですが、シュミットの寂しさが強調されて拭い切れていないのでハッピーエンドとは言い難い印象を受けますね。果たして彼は積極的に自分の人生を肯定できたのか、それとも消極的な肯定なのか。考える人はそこを考えさせられてしまうことかと思います。
総合的には、寂しい映画ですし、ジャック・ニコルソンの演技力にだいぶ支えられた作品です。
つまり、観なくてもいい作品ってことなのですが、まあジャック・ニコルソンが泣いてるのを観たい人向けって感じですね(笑)
しかしニコルソンも老けたなあ・・・『シャイニング』や『バットマン』の頃がとても好きです。

★★★☆☆
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